「米中論」
著者 田中宇  光文社新書 700円

情報への熟達した目利き

この著書では、「アメリカは中国包囲網を完成させた」。タリバン崩壊後の世界地図を改めて見ると、アメリカは中央アジアの地下資源の利権をものにすると同時に、「中国を表(台湾・沖縄・フィリピン)と裏(中央アジア)から挟みうちにできる」戦略を取っていると仮説を立てる。中国はアメリカの挑発に表だって乗らないのはなぜか。その背景を説明するために米中の相思相愛を続ける両国関係史が説かれる。後半は中国ルポ。著しい経済成長を遂げる中国海岸都市を現地取材している。現地ルポの方は新聞記者の見方が出過ぎていてやや迫力に欠ける。それを差し引いてもネット・ジャーナリズムの旗手の発信する国際情勢分析力は抜群である。

(02年7月記)